母乳育児の歴史~戦後から現代まで~母乳育児とミルク育児の移り変わり

結婚して出産をし私の人生は大きく変わりました。独身のときと比べて、もちろん生活が大きく変わりましたが、赤ちゃんを連れて外出すると初対面の女性の方達にたくさん話しかけてもらえるようになりました。

そこで「かわいいね~」と言ってもらえたり、「今何か月?もう離乳食食べるの?」「もうハイハイする?」など、育児中は人と話すことが少なくなるので、お話を楽しませてもらっています。

はじめは赤ちゃん連れのお母さんに話しかける心理って考えたことなかったのですが、1人目あーちゃんが小学生になった今、街中を歩いている赤ちゃんとお母さんを見ると「わあ!赤ちゃん笑ってる。かわいい♪今何か月かな?」と思う自分がいて、赤ちゃんを連れていた自分に話しかけてくれた人たちの気持ちがとてもよく分かるようになりました。

そう!その心は、赤ちゃんの存在がなつかしいんです!

自分の育児していたときを思い出して、比較したりしているんですよね。

かく言う、よく聞かれるのが「今は母乳で育てているの?」「粉ミルクは足さないの?」そういった類の質問です。

まだ私が子どもの頃、おばあちゃんの自宅へ遊びに行くと、昔の話をよく聞かせてもらいました。

そのときに「昔はうちに産婆さんが来てくれて、赤ちゃんを生んだんだよ。」とか「昔は粉ミルクなんてなくて、お乳で赤ちゃんを育ててね。」といった話をよくしてもらいました。

ただ、義母や実母もよく自分たちのときの育児話をしてくれますが、そのときはほぼ粉ミルクで育児をしていて、私と主人の赤ちゃん時代の写真を見るとコロコロプクプクに写っています(笑)

もちろん時代の移り変わりもあるのでしょうが、なぜ根本的なところがこんなにも違うのでしょうか?

今は母乳育児を応援してもらえるような雰囲気が世間にはあります。

こうなるまで、日本では今まで一体どのような出来事があったのでしょうか?

今日は母乳育児、粉ミルク育児の時代背景にスポットをあててみます。

戦後~1970年頃の母乳育児

産院でのお産が急速に広まる

伝統的に日本では助産師さんの介助により家庭で出産し、乳房マッサージをしながら母乳を直接授乳するという流れが出来上がっており、それが一般的でした。

そのため戦後間もなくの1950年頃までは、母乳による育児が全盛でした。

断乳は遅めで、5歳頃になっても母乳を飲んでることは珍しくありませんでした。

ですが、その背景に新生児と乳児の死亡数が高い数字になっており、戦後すぐの1947年には新生児と乳児の死亡数が年間29万人となっていました。

1950年代以降、アメリカの指導と国の管理のもとに、より安全なお産が推進されます。

病院などでの施設分娩が増加し、赤ちゃんを安全に管理する名目から、母子別室状態の新生児室での一括管理が進みました。

そのため出産直後からママと赤ちゃんが一緒にいられない状況になってしまいました。

母乳は赤ちゃんが乳房を吸う刺激によって分泌されるため、出産直後から頻繁に授乳しなければ母乳の分泌量は増えません。

そのような背景から母乳育児はどんどん下火になっていきます。

過去最低の母乳育児率

この頃から世間は高度経済成長期に突入します。その背景として粉ミルクが大流行する時代を迎えます。

すでに当時のアメリカではほとんどが粉ミルク育児であったということや、産院とミルクメーカーの協力体勢が確立し、入院中に調乳指導を行う産院が多くなったことなどから日本の社会のなかで、ミルク育児が近代的でスマートでであるという風潮が広がりました。

母乳育児をしているお母さんは周りからのすすめで、どんどん粉ミルク育児へと切り替えていくという流れが起こりました。

そういった出来事から1960年には70.5%あった母乳育児率は10年後の1970年には31.7%と、過去最低の数値になってしまいました。

母乳育児が少なくなったのは日本だけではなく先進国でも同じ動きがありました。

そのことを重く見たWHOは対策を打ち出します。

1970年~現代までの母乳育児

再び母乳の良さが見直される

世界の途上国で不衛生なミルクによる乳児死亡が増えており、それが問題になっていました。

その頃に母乳栄養についての研究が進められ、母乳中に免疫物質が含まれていることが分かり、母乳推進が広まり始めるときでした。

日本では1974年にWHOが母乳哺育推進を決議し、翌年には厚生省も母乳栄養推進運動のスローガンを掲げました。

そして1980年代の終わりになると、さらに母乳研究が進み、母乳の良さを見直そうという働きが出てきました。

ユニセフとWHOが共同で「母乳育児を成功させるための10カ条」を出しました。

この「母乳育児を成功させるための10カ条」は、母乳育児にとって理想的な環境を提言したもので、

”母親が分娩後、30分以内に母乳をのませられるように援助すること”
”母親に授乳の指導をし、もし赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えること”
”母子同室にする。赤ちゃんと母親が一日中24時間、一緒にいられるようにすること”
‥‥

といったような内容のもので、母乳で育てたい!と思っているお母さんにとって、とても有益な指導内容が盛り込まれています。

母乳育児を成功させるための10カ条を実施する産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院」として認定しました。

母乳育児をしたい母親が増加

その後、そういった取り組みが功を奏し、厚生労働省が2005年に行った調査では、出産前に母乳育児を望んでいる母親の割合は96%にまで上昇し、また1950年以前のような胸を張って、母乳で育児できる世の中へとなりました。

私がはじめて妊娠をし、出産で入院するときに事前に助産師さんからカウンセリングを受けました。

そのときに「本人の強い希望や、何か特別な理由がない場合は、出産したら母乳育児の指導をさせていただきますね。」と言われました。

そのときに昔、実母が母乳の出が悪く苦戦した話を思い出し、不安になった私でしたが(育児は粉ミルクで良いと思っていました)、今思い返すと、母乳育児の指導をしてもらえて本当に良かったなと思いました。

母親として貴重な体験をさせてもらえました。

そういった指導をしてもらえたのも、今までの時代の流れがあったからなんだと、昔を生きてきた方に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

まとめ

母乳育児はとても長い歴史があり、母乳を与えたくてもその時代の風潮で与えることができなかったお母さんもいて、こうやってわが子に母乳を与えられることはとても幸せなことなんだと気付かされます。

母乳は素晴らしい栄養素が含まれていますし、お母さんと赤ちゃんのスキンシップにも持って来いですが、ミルク育児も立派な育児だと思います。

実際に私も大半、ミルクで育っており、一生懸命育ててくれた両親に感謝の想いでいっぱいです。

みなさまがご自身の納得のいく育児ができることを願っています!